投稿

8月, 2026の投稿を表示しています

40代から始める米国株、「今さら遅い」は本当か

イメージ
  40 代から始める米国株、「今さら遅い」は本当か 45 歳の平均余命は 37.52 年 ― 運用に使える時間は、そこから数える 厚生労働省の「令和 7 ( 2025 )年簡易生命表」を開き、 45 歳の行を指でたどりました。男 37.52 年、女 43.20 年。これが 45 歳の平均余命です。年齢を足すと男 82.5 歳、女 88.2 歳になります。「 40 代から米国株を始めるのはもう遅い」という言い方はよく目にしますが、その「遅い」が何年を指すのかを、この表と突き合わせて説明した文章には、あまり出会いません。年齢の話をいったん脇に置き、時間のほうを数えてみます。 1. 45 歳の平均余命は、男 37.52 年・女 43.20 年ある 同表の「主な年齢の平均余命」(表 1 )によれば、 45 歳の平均余命は男 37.52 年、女 43.20 年。前年の令和 6 年は 37.26 年と 43.03 年でしたから、 1 年のあいだに男は 0.26 年、女は 0.17 年延びました。 40 歳まで戻せば男 42.29 年、女 48.05 年です。 ここで押さえておきたいのは、この表が何を計算したものかという点です。概況の冒頭に書かれているとおり、令和 7 年簡易生命表の作成基礎期間は令和 7 年 1 月 1 日から 12 月 31 日までの 1 年間。つまり「この 1 年間の死亡状況が今後変わらないと仮定したら」という条件つきの期待値であって、医療の進歩も悪化も織り込んでいません。 そして過去の実績を見るかぎり、この仮定は控えめな側に外れてきました。同じ概況の表 3 をたどると、 90 歳まで生存する者の割合は平成 7 年で男 12.8 %・女 30.9 %、平成 22 年で男 21.5 %・女 46.2 %、令和 7 年で男 26.7 %・女 50.8 %。 30 年で倍近くになっています。単調ではありません。令和 2 年の男 28.1 %を令和 7 年は下回っています。それでも方向は上向きです。生命表の余命は、将来を当てにいった予測ではなく、いま分かっている死亡状況を素直に引き延ばした目安だと考えたほうがよさそうです。 「今さら遅い」が前提にしているのは、たいてい「定年までの残り 20 年で運用は終わる」という数え方で...

40代からの新NISA、若い世代とは「戦い方」が違う

イメージ
40 代からの新 NISA 、若い世代とは「戦い方」が違う 年 360 万円の枠より先に、教育費が出ていく年を数える   2,821 万口座、累計 71 兆円。金融庁が令和 8 年 7 月 3 日に公表した、令和 7 年 12 月末時点の NISA 利用状況の数字だ。前年末は 53 兆円だった。差し引き 18 兆円が 2025 年の一年で買われている。口座数で割ると 1 口座あたり 63.8 万円。年間投資枠は 360 万円ある。使われているのは 2 割に届かない。 ただ、この記事で本当に書きたいのはその先だ。令和 9 年 1 月から、 0 歳の子にもつみたて投資枠が開く。年 60 万円、上限 600 万円。教育資金を非課税で積める枠がようやく用意された――のだが、そこから金を出せるのは原則として子が 12 歳になってからで、使途も教育費か生活費に限られる。 40 代の家計には、この一行が効いてくる。 1. 71 兆円を 2,821 万口座で割ると、 1 年あたり 63.8 万円になる 金融庁「 NISA 口座の利用状況調査(令和 7 年 12 月末時点)」の推移グラフ(別紙 4 )によれば、累計買付額は 2023 年 12 月末で 35 兆円、 2024 年 12 月末で 53 兆円、 2025 年 12 月末で 71 兆円。新 NISA が始まってからの二年で 36 兆円が積み上がった。口座数 2,821 万で割ると 1 口座 127.6 万円、年あたり 63.8 万円になる。 別の経路でも当ててみた。総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編) 2025 年(令和 7 年)平均結果の概要」の参考 2 欄には、 2025 年 12 月末時点の速報値として口座数約 2,830 万、年間買付額約 18 兆 7,935 億円が引かれている。速報値どうしで割ると 66.4 万円。どちらの経路をたどっても、年間枠 360 万円の 18 %前後にしかならない。 ここで一つ断っておく。分母の 2,821 万口座には、開設しただけで一度も買っていない口座が含まれている。だから 63.8 万円は「積み立てている人の平均額」ではない。実際に買っている世帯の平均は、これより高い。金融庁の公表資料に稼働口座だけを抜き出した計数は載っていない...

遺族年金は、亡くなった日の一日で決まる

イメージ
  遺族年金は、亡くなった日の一日で決まる 納付も、収入も、家族の範囲も。判定はその一日の事実を見ている 日本年金機構の「遺族年金ガイド 令和 8 年度版」と、同機構の遺族厚生年金の制度ページ( 2026 年 4 月 1 日更新)を並べ、要件の書きぶりを一節ずつ突き合わせました。納付要件、生計維持、遺族の範囲、国民年金の独自給付。説明の調子は節ごとに違うのに、判定の基準日を示す言い回しだけは揃っています。死亡日の前日において。当日ではなく、前日です。 遺族年金は請求して初めて振り込まれます。ただし審査されるのは、窓口に立っている遺族の今日の状況ではなく、亡くなったその日の家族の状態です。いくら受け取れるかという話より、この入口のほうが結果を分けている。資料に当たった順に、判定が凍りつく場所をたどります。 1. 納付要件の分母は、死亡月の前々月で止まっている 保険料の納付要件がかかるのは、遺族厚生年金の五つの受給要件のうち二つだけです。厚生年金保険の被保険者である間に亡くなったとき。被保険者期間に初診日がある傷病で、初診日から 5 年以内に亡くなったとき。 条件はこうです。死亡日の前日の時点で、死亡日が含まれる月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が 3 分の 2 以上あること。日本年金機構「遺族年金ガイド 令和 8 年度版」 3 ページの記載です。 誤解が起きやすいのは分子のほうです。同ガイドは括弧書きで、ここに厚生年金保険の被保険者期間と共済組合の組合員期間も含めると明記しています。会社員として働いた月は、国民年金の保険料を自分で納めていなくても納付済として数えられる。転職の合間に並んだ未納だけを見て諦める必要はありません。 ガイドが載せている例で検算してみます。 20 歳から加入し、 40 歳で亡くなった方。被保険者期間 240 月に対して、国民年金の納付済 30 月、免除 12 月、厚生年金の被保険者期間 120 月。合計 162 月です。 240 月の 3 分の 2 は 160 月ですから、 2 月の余裕で要件を満たします。未納は 78 月ありますが、それでも通る。 3 分の 2 に届かないときの特例もあります。死亡日に 65 歳未満であれば、死亡日の前日の時点...